新型コロナウイルス関連の給付金・補助金・助成金(総論)」においては、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、休業や雇用調整、在宅ワークの環境整備や事業転換等を行おうとする中小企業、小規模企業を支援するための様々な給付金・補助金・助成金制度の全体像を、わかりやすく整理してご紹介しました。

本記事においては、その中でも中小企業・小規模企業が一般的に利用可能な制度について、制度ごとにご紹介します。

※2020年5月6日時点における情報に基づき記載しております。新型コロナウイルス感染症に関する各種制度は日々更新されているため、以下の内容が更新・変更される可能性にご留意のうえご参照頂き、最新の情報をご確認ください。なお、同様の理由により、本記事にて設定したリンク先のURLが予告なく変更される場合等がございますのでご了承ください。

※本記事で取り上げる融資・保証制度、給付金・補助金・助成金制度の利用には、別途金融機関、信用保証協会その他関係行政機関の審査等があります。以下の内容は、必ずしもご希望の条件で融資・保証を受けることや補助金等の受給ができることを保障するものではないことにご留意ください。

Q1 新型コロナウイルスの拡大の影響により売上が大きく減少してしまったのですが、この場合に支給される給付金制度について教えて下さい。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業全般に広く利用可能な給付金を支給する「持続化給付金」制度が設けられました。

資本金10億円以上の大企業を除き、中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者が利用対象となっており、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人等の会社以外の法人形態についても幅広く制度を利用することができます。

[制度の概要]

対象事業者 法人の場合:

1. 2020年4月1日時点において次のいずれかを満たすこと(但し、組合若しくはその連合会又は一般社団法人については、その直接又は間接の構成たる事業者の3分の2以上が個人又は次のいずれかを満たす法人であること)。
① 資本金の額又は出資の総額が10億円未満であること。
② 資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること。
2. 2019年以前から事業により事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
3. 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月が存在すること。

※昨年創業した場合等の通常の算定方式を適用することが困難又は不適当である場合には、給付額の算定に関する特例が適用できる可能性があります。複数の特例制度が用意されており、また、特例により必要な添付書類や適用要件が異なりますので、特例制度の詳細については経済産業省の方ホームページをご確認ください。

個人事業者の場合:

1. 2019年以前から事業により事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
2. 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月が存在すること。

※個人事業者の場合にも、昨年開業した場合等の給付金の算定方式に関する特例が用意されています。特例制度の詳細については経済産業省のホームページをご確認ください。

給付上限額 法人の場合:

200万円又は昨年1年間の売上減少分のいずれか低い金額

個人事業者の場合:

100万円又は昨年1年間の売上減少分のいずれか低い金額

◆売上減少分の計算方法

昨年の総売上 - 前年同月比▲50%となった月の売上×12

Q1.1:持続化給付金の申請・給付はいつから始まりますか?

2020年5月1日付で申請受付が開始されています。申請内容に不備がない場合には、申請後2週間程度で、申請者の銀行口座に振り込む方法により給付を行うことが予定されています。

持続化給付金の申請受付は2020年5月1日から開始されており、経済産業省のホームページにて給付金の申請手続を行うことが可能です。また、上記リンクには「申請要領」や「よくあるお問合せ」も掲載されていますので併せてご確認ください。

<参考|経済産業省ホームページ>
持続化給付金

Q2 雇用調整助成金について特例措置が講じられたと聞きました。雇用調整助成金の特例措置について教えて下さい。

雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当等に要した費用を助成する制度です。

今般、新型コロナウイルス感染症に係る特例措置として、緊急対応期間中(2020年4月1日から同年6月30日まで)に限り、全国一律で助成要件の緩和や助成内容の拡充、手続の緩和や簡素化がなされています。

雇用調整助成金の受給を受けるための主な要件を以下の表にて整理しています。このうち、緊急対応期間中の特例措置に係る部分については赤二重線を付しています。

[制度の概要]

支給対象となる事業主 雇用調整助成金を受給するための要件

1. 新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高又は生産量等の事業活動を示す指標の直近1か月間の値が前年同月比で5%以上減少したこと(但し、(i)事業所を設置して1年に満たず前年同期と比較できない場合又は前年同期に実質稼働していなかった場合は、2019年12月との比較を行い、(ii)災害その他やむを得ない事情で比較対象月にすることが適当でない場合は、前々年同月との比較を行う。)。
2. 雇用調整の実施について労使間で事前に協定し、かかる決定に沿って雇用調整が実施されていること。
3. 雇用保険適用事業主であること。
4. 受給に必要な書類について整備し、これを所定の手続に従い労働局等に提出すること(及びこれを適切に保管すること。)。
5. 労働局等の実地調査を受け入れること。
6. その他、本助成金における不支給要件に該当しないこと。

労使協定は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には当該労働組合、かかる労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者との間で書面により行う必要があります。

支給対象となる期間と日数 雇用調整助成金は、事業主が指定した1年間の期間内に実施した休業について助成されます。

本助成金の支給対象となる期間や日数は、一般的にはクーリング期間や支給限度日数といった制限を受けますが、クーリング期間は2020年1月24日以降の休業については適用がなく、支給限度日数は緊急対応期間に実施した休業について適用がありません。

支給対象となる休業 雇用調整助成金は、「支給対象となる事業主」が、「対象労働者」に対して実施した「支給対象となる休業」に対して実施した休業が、助成対象となります。
対象労働者 「支給対象となる事業主」は、通常、雇用保険被保険者として6か月以上の期間、継続して雇用されている者を意味しますが、緊急対応期間中においては雇用保険被保険者以外の労働者や6か月という期間要件を満たさない労働者の休業も助成金の支給対象となります。
支給対象となる休業 支給対象となる休業に該当するためには、一定の要件を全て満たす必要があります。詳細な要件は雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)をご確認ください。
助成額 助成額は、「労働者に支払った休業手当相当額」に「助成率」を乗じて算出します。なお、2020年1月24日以降の休業においては、「残業相殺」(残業や休日出勤をさせた分を控除する措置)の適用はありません。
労働者に支払った休業手当相当額 1人1日当たり8,330円を上限とします(但し、当該上限額については現在引き上げが検討されています。)
助成率
中小企業 大企業
通常時 2/3 1/2
緊急対応期間中 上乗せなし 4/5 2/3
上乗せあり 9/10 3/4

※解雇等を行っていない等の一定要件を満たす場合に助成率の上乗せが適用されます。なお、厚生労働省は、2020年4月25日付で、一定の要件を満たした中小企業の助成率を現状の9/10から10/10へと引き上げる特例措置を新たに講じました。特例措置の具体的な内容は以下のとおりです。

 

1.  休業手当の支払率60%超の部分の助成率10/10とする

中小企業が解雇等を行わず雇用を維持し、賃金の60%を超えて休業手当を支給する場合に、60%を超える部分に係る助成率が100%となります。

2.  1に加えて一定要件を満たす場合は休業手当全体の助成率を10/10とする

休業等要請を受けた中小企業が解雇等を行わず雇用を維持している場合であって、下記の要件を満たす場合には、休業手当全体の助成率が100%になります。

(1)  新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づき都道府県対策本部長が行う要請により、休業又は営業時間の短縮を求められた対象施設を運営する事業主であって、これに協力して休業等を行っていること。

(2)  以下のいずれかに該当する手当を支払っていること。

・労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っていること。

・上限額(8,330円)以上の休業手当を支払っていること(支払率が60%以上の場合に限る)

 

助成金制度の詳細や申請方法等については、厚生労働省のホームページにてご確認いただくことが可能です。

<参考|厚生労働省ホームページ>
雇用調整助成金
雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)緊急対応機関(4月1日~6月30日)

さいごに

本記事は以上です。次回は、「新型コロナウイルス関連の給付金・補助金・助成金(各論②)」にて、企業の一定の取り組みを支援する各種給付金・補助金・助成金制度をご紹介します。

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