「新型コロナウイルス関連の給付金・補助金・助成金(総論)」においては、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、休業や雇用調整、在宅ワークの環境整備や事業転換等を行おうとする中小企業、小規模企業を支援するための様々な給付金・補助金・助成金制度の全体像を、わかりやすく整理してご紹介しました。そして、「新型コロナウイルス関連の給付金・補助金・助成金(各論①)」では、新型コロナウイルス感染症により悪影響を受けた中小企業及び小規模企業が、一般的に利用可能な給付金・補助金・助成金制度の内容を制度ごとにまとめました。
本記事においては、中小企業及び小規模企業が一定の取り組みを行う場合に利用できる各種給付金・補助金・助成金制度について、制度ごとにご紹介します。
※2020年5月6日時点における情報に基づき記載しております。新型コロナウイルス感染症に関する各種制度は日々更新されているため、以下の内容が更新・変更される可能性にご留意のうえご参照頂き、最新の情報をご確認ください。なお、同様の理由により、本記事にて設定したリンク先のURLが予告なく変更される場合等がございますのでご了承ください。
※本記事で取り上げる融資・保証制度、給付金・補助金・助成金制度の利用には、別途金融機関、信用保証協会その他関係行政機関の審査等があります。以下の内容は、必ずしもご希望の条件で融資・保証を受けることや補助金等の受給ができることを保障するものではないことにご留意ください。
目次
Q1 小学校休業等対応助成金について教えて下さい。
小学校休業等対応助成金とは、①臨時休業した小学校等に通学する子ども又は②新型コロナウイルス感染症に感染し若しくはそのおそれのある子どもの保護者である労働者に対して有給休暇(年次有給休暇を除きます。)を取得させた事業者に向けて、助成金を支給する制度です。
[制度の概要]
助成対象 | : | 対象期間中に、対象労働者に対し、対象有給休暇を取得させた事業者
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助成内容 | : | 対象有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額
= 対象労働者の日額換算賃金額(上限8,330円) × 有給休暇の日数 |
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申請期間 | : | 2020年9月30日まで | ||||||
申請等にかかる注意点 | : | ・様式は2種類あります(雇用保険被保険者用と、雇用保険被保険者以外の方用)。
・事業所単位の申請ではなく、法人ごとの申請が求められます。 |
助成金制度の詳細や申請方法等については、厚生労働省のホームページにてご確認いただくことが可能です。
<参考|厚生労働省ホームページ>
・小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました
Q2 新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースについて教えて下さい。
本制度は、新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取組みを実施する事業者を支援する厚生労働省による時限的な助成金制度です。
[制度の概要]
助成対象事業者 | : |
1. 労働者災害補償保険の適用事業者であること。 2. 下表の業種に応じて、「資本又は出資額」の要件又は「常時雇用する労働者」の要件を満たすこと。
3. テレワークを新規で導入(試行的に導入している事業主を含む。)する事業者であること。 4. 働き方改革推進支援助成金交付申請書及び事業実施計画を厚生労働大臣に提出の上交付決定を受け、当該計画に基づき事業を実施し、その実施の状況及び成果を明らかにする書類を整備していること。 5. 所定の不支給要件に該当しないこと。 その他詳細については厚生労働省ホームページ「働き方改革推進支援助成金交付要綱(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」をご確認ください。 |
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助成金支給要件 | : | 対象期間中に、助成対象の取組みを実施し、かつ、雇用する労働者1人以上に、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させること。
なお、2020年4月28日付で、以下のとおり助成対象の拡充がなされております。 ・ 受け入れている派遣労働者がテレワークを行う場合も対象とする。 ・ パソコンやルーター等のレンタル・リースの費用※も対象とする。 ※事業の実施期間内(5月31日まで)の経費であり、かつ、同日までに支出されたものに限ります。 詳細については厚生労働省ホームページ「働き方改革推進支援助成金支給要領(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」をご確認ください。 |
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助成金上限額 | : | 100万円 | |||||||||||||||
助成率 | : | 1/2 | |||||||||||||||
申請期間 | : | 〔交付申請〕2020年5月29日まで 〔支給申請〕2020年7月15日まで 但し、国の予算額の制約をうけるため、早めに終了する可能性があります。 |
助成金制度の詳細や申請方法等については、厚生労働省のホームページにてご確認いただくことが可能です。
<参考|厚生労働省ホームページ>
・働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
Q3 事業継続緊急対策(テレワーク)助成金について教えて下さい。
本制度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止等の対策として、在宅勤務等を可能とするテレワーク環境構築による職場環境の整備に対して助成金を支給する公益財団法人東京しごと財団の実施する制度です。
[制度の概要]
助成事業 | : | 助成金の支給決定日以後に新たに取り組む、事業継続緊急対策(テレワーク)事業(但し、2020年6月30日までに完了可能である必要があります。) |
助成要件 | : |
1. 常時雇用(6か月以上継続雇用)する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社又は事業所を置く事業者。 2. (常時雇用する労働者が10人以上の場合)就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていること。 3. 都が実施する2020TDM推進プロジェクトに参加していること。 4. 都税の未納付、風営法違反、過去5年以内に重大な法令違反等がないことや、労働関係法令の遵守。 5. 暴力団等への非該当。 6. 本事業の助成金をすでに利用した事業者の代表者と代表者が同一でないこと。 |
助成対象経費 | : |
1. 機器等の購入費(例:パソコン、タブレット、VPNルーター) 2. 機器の設置・設定費 (例:VPNルーター等機器の設置・設定作業費) 3. 保守委託等の業務委託料(例:機器の保守費用) 4. 導入機器等の導入時運用サポート費 (例:導入機器等の操作説明マニュアル作成費) 5. 機器のリース料(例:パソコン等リース料金) 6. クラウドサービス等ツール利用料(例:コミュニケーションツール使用料) 助成対象となる機器等については公益財団法人東京しごと財団のホームページで募集要項をご確認ください。 |
助成金上限額 | : | 250万円 |
助成率 | : | 10/10 |
申請受付期間 | : | 2020年3月6日から2020年5月12日まで(必着)
但し、予算範囲を超える申請があった場合等においては、早めに終了する可能性があります。 |
申請等に係る注意点 | : | ・郵送で提出します。
・申請書様式は公益財団法人東京しごと財団のホームページからダウンロードできます。 ・申請書には実印に押印が必要です。 ・申請書と添付書類がすべて不備なく提出された時点で申請書の正式受領となるため、早めの申請が望ましいです。 ・審査の結果、支給されないことや、支給申請額から減額して支給決定されることがあります。 ・申請にかかる経費は自己負担です。 ・本制度と同一の事由により、国、都又は区市町村が実施する他の助成金等を受給する又は受給した場合には、本制度による助成金の併給が認められません。 |
申請書類 | : |
① 事業計画書 兼 支給申請書(様式第1-1号) ② テレワークを活用した事業継続及び従業員の安全確保にかかる計画(様式第1-2号) ③ 誓約書(様式第2号) ④ その他助成事業申請にかかる書類 |
助成金制度の詳細や申請方法等については、公益財団法人東京しごと財団のホームページにてご確認いただくことが可能です。
<参考|東京しごと財産ホームページ>
・事業継続緊急対策(テレワーク)助成金のご案内
Q4 生産性革命推進事業に関する補助金について教えて下さい。
生産性革命推進事業では、①ものづくり補助金、②(小規模事業者)持続化補助金、③IT導入補助金の3種類の補助金制度が用意されています。今般、既存の補助金枠である「通常枠」に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者を対象に「特別枠」が新たに設けられました。なお、通常枠であっても、新型コロナウイルス感染症で影響を受けていることを条件に、優先的に採択される措置が講じられる場合があります。
ものづくり補助金:
新製品・サービス・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援する補助金
通常枠 | 特別枠 | ||
対象事業者 | 小規模事業者、中小企業 | ||
補助上限 | 1,000万円 | 1,000万円 | |
補助率 | 小規模事業者 | 2/3 | 2/3 |
中小企業 | 1/2 | 2/3 |
持続化補助金:
小規模事業者等が経営計画を作成して取り組む販路開拓等の取組みを支援
通常枠 | 特別枠 | |
対象事業者 | 小規模事業者等※ | |
補助上限 | 50万円 | 100万円 |
補助率 | 2/3 | 2/3 |
※「小規模事業者等」には、一定の要件を満たした特定非営利法人も含まれます。
IT導入補助金:
ITツール導入による業務効率化等を支援
通常枠 | 特別枠 | |
対象事業者 | 小規模事業者等※、中小企業 | |
補助上限 | 30~450万円 | 30~450万円 |
補助率 | 1/2 | 2/3 |
※「小規模事業者等」には、一定の要件を満たした学校法人、医療法人その他の法人又は組合等も含まれます。
※通常枠での応募であっても、テレワークの導入に取り組む場合には、審査において加点事由となります。
特別枠の申請要件(3つの補助事業に共通):
補助対象経費の1/6以上が、以下のいずれかの要件に合致する投資であること。
A. サプライチェーンの毀損への対応: 顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと(例:部品が調達困難になったため部品を内製化、出荷先の営業停止に伴って新規顧客を開拓等) B. 非対面ビジネスモデルへの転換: 非対面・遠隔でサービスを提供するビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと(例:店舗販売からEC販売へのシフト、VR・オンラインによるサービス提供等) C. テレワーク環境の整備: 従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること(例:WEB会議システム等を含むシンクライアントシステムの導入等) |
申請期間:
公募スケジュール | ||
通常枠 | 特別枠 | |
ものづくり補助金 | 公募中、2020年5月20日(水)17時 | |
持続化補助金 | 公募中、2020年6月5日(金) 当日消印有効 |
2020年4月下旬~同年5月15日(金) 必着 |
TI導入補助金 | 2020年5月11日(月)~同年5月29日(金) |
助成金制度の詳細や申請方法等については、独立行政法人 中小企業基盤整備機構のホームページにてご確認いただくことが可能です。
<参考|外部リンク>
・経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」
・中小企業基盤整備機構「中小企業生産性革命推進事業」
Q5 サプライチェーン対策のための国内投資促進事業について教えて下さい。
本制度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うサプライチェーンの脆弱化対策として、特定国に依存する製品・部素材等について、国内へ生産拠点等を整備しようとする際の設備導入等を支援する補助金制度です。
対象事業者 | 中小企業等、大企業 |
補助率 | 中小企業等2/3、大企業1/2 |
補助対象経費 | 建物・設備の導入費 |
制度の詳細や申請方法等については経済産業省等のホームページによる公開が予定されています。
<参考|経済産業省ホームページ>
・新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
Q6 海外サプライチェーン多元化等支援事業について教えて下さい。
本制度は、製品・部素材の海外製造拠点の複線化等、サプライチェーン強靭化に向けた設備導入・実証事業等を支援する補助金制度です。
対象事業者 | 中小企業等グループ、中小企業、大企業 |
補助率 | 中小企業等グループ:3/4
中小企業:2/3 大企業:1/2 |
補助対象経費 | 企業によるASEAN諸国への設備投資・補助対象:実証事業・事業実施可能性調査 |
制度の詳細や申請方法等については経済産業省等のホームページによる公開が予定されています。
<参考|経済産業省ホームページ>
・新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
Q7 JAPANブランド育成支援等事業に関して支給される助成金について教えて下さい。
本制度は、地域の魅力を秘めた「地域産品」「サービス」の磨き上げやブランド力の強化、発信力の向上を図ることで、新型コロナウイルス感染症に打ち勝つ地域産品・サービスの魅力創出・発信活動・新市場の開拓を支援する補助金制度です。
支援には、①事業者支援型と②支援事業型の2種類があります。
① 事業者支援型:
中小企業・小規模事業者が市場ニーズに合致した商品・サービスを開発し、新市場への販路開拓を目指す取組の費用を補助
補助率 | 2/3以内 |
補助上限額 | 500万円 |
② 支援事業型:
民間支援事業者や地域の支援機関等が、地域産品を活用した新商品の開発・商品のブランド化等に取り組む中小企業・小規模事業者に対して、市場調査や商品のプロモーション活動等の支援を行う際の費用を補助
補助率 | 2/3以内 |
補助上限額 | 2,000万円 |
制度の詳細や申請方法等については経済産業省等のホームページによる公開が予定されています。
<参考|経済産業省ホームページ>
・新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
Q8 都道府県や市町村等の各自治体が実施する新型コロナウイルス感染症対策の支援策について教えて下さい。
中小企業基盤整備機構が運営する情報発信サイト「J-Net21」にて、各自治体の支援策がまとめられていますので、そちらをご参照下さい。
本記事は以上です。各種給付金・補助金・助成金制度は、一般的に、金額は融資よりも少額となることが多いですが、返済が必要ない点で、中小企業及び小規模企業にとっては利点が大きい制度であり、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、事業転換や新しい環境整備に挑戦していこうとする中小企業及び小規模企業を支える制度といえます。
さいごに
新型コロナウイルス感染症の拡大により悪影響を受ける中小企業及び小規模企業の支援策として、各種資金繰り支援制度及び各種給付金・補助金・助成金制度について、
・ 「新型コロナウイルス関連の資金繰り支援制度(総論)」
・ 「新型コロナウイルス関連の資金繰り支援制度(政府系金融機関)」
・ 「新型コロナウイルス関連の資金繰り支援制度(生活衛生関係営業事業者向け)」
・ 「新型コロナウイルス関連の資金繰り支援制度(信用保証付融資)」
・ 「新型コロナウイルス関連の給付金・補助金・助成金(総論)」
・ 「新型コロナウイルス関連の給付金・補助金・助成金(各論①)」
及び本記事において、それぞれご紹介してまいりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大という未曽有の危機により、多くの中小企業や小規模企業が、長期的な営業自粛や、事業・働き方の見直しを余儀なくされています。深刻なダメージを受ける前に、ご紹介した各種資金繰り支援制度や各種給付金・補助金・助成金制度をうまく活用することが肝要です。
制度によっては、申請期限が設定されているものもありますので、まずは「新型コロナウイルス関連の資金繰り支援制度(総論)」及び「新型コロナウイルス関連の給付金・補助金・助成金(総論)」にて自社がどういった制度が利用できるのかご確認ください。そして、「ある程度まとまった金額の融資を受けたい」、「少額であっても返済不要な支援金を受給したい」といったニーズに応じて、最適な支援制度の活用が望まれます。
各種資金繰り支援制度及び給付金・補助金・助成金制度に関してのご相談を受け付けております。お問い合わせは、以下のボタンから問い合わせフォームを通じてご連絡ください。